『赤毛のアン』Ｌ・Ｍ・モンゴメリ著、 松本侑子訳、集英社文庫、840円 巻末訳注より抜粋

モットー		第1章		2	3	4	5	6	7	8	9	10	11	12	13	14	15	16	17	18
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第35章 （１）申し分のない好敵手（P412） ‥‥スコットの詩『湖上の麗人（れいじん）』より。前出第30章（11）と同様。 （２）「緑にけぶるもや」（P413） ‥‥イギリスの桂冠詩人テニスンの詩『小川』より。「葉がしげる季節が訪れる前に／木は緑にけぶるもやにおおわれる」（第二節一三行から一四行）＊ （３）「健闘する歓び」（P415） ‥‥イギリスの女性詩人フェリシア・ドロシア・ヘマンズの詩『戦場の女』第十二節と第十三節に「健闘する歓び」がある。詩の全文は、インターネットでアメリカのペンシルベニア大学英文学部がテキスト化して全文公開していた。 ヘマンズは、自然、無垢（むく）な子どもたち、海外紀行、祖国愛、家族愛、信仰、歴史的事件、伝説といったテーマを、平易に感傷的に描いて大衆の人気を博し、ワーズワース、スコットの支持を受けた。アン（つまりモンゴメリ）は、悲劇的な死を描いた悲壮（ひそう）な詩を好んで、しばしば引用に使っているが、『戦場の女』も、壮絶な戦場で死に、弔（とむら）われることもなく横たわっている女を描いた作品。「健闘する歓び」は、『赤毛のアン』ではアンが勉強に熱を入れるうちに「健闘する歓び」が分かりかけてきたと、肯定的（こうていてき）に使われている。しかし『戦場の女』を読むと、平和で平穏な暮らしを退屈がり、血なまぐさい闘いを歓ぶ好戦家を否定的に描いた一節。◇ ●この文章の著作権は、筆者・松本侑子に帰属します。 　無断転載は、著作権法で、厳しく禁止されています。 　論文、個人・法人のサイト等に引用される場合は、著作権法の規定にもとづき、 　「モンゴメリ著『赤毛のアン』（松本侑子訳、集英社文庫、2000年）より引用」 　と明記して下さい。
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