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モンゴメリが1874年に生まれた家 プリンスエドワード島州北部、ニューロンドン このころ、モンゴメリの父親は商売をしていました。 そのため、この家は、農家ではなく、 当時の典型的な商人の家のようです。 農家グリーン・ゲイブルズ・ハウスとはまた違う作りの家です。 |
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モンゴメリが育ち、母方の祖父母と暮らした家 今は礎の地下室のみ残っている。 この家で、モンゴメリは１８歳まで暮らします。 そのあと、師範学校、教員時代、大学に通っている時期は、この家から離れていましたが、それ以外は、３７歳で結婚するまで、ほとんどこの家に住んでいました。 30代に『赤毛のアン』（1908年）と『アンの青春』（1909年）を書いたのも、この家です。 プリンスエドワード島州北部、キャベンティッシュにあります。 この地下室は、食料貯蔵庫として使われていた場所です。 『赤毛のアン』で、マリラやアンが、 スグリの果実酒（原文では、カラント・ワイン）やアンの大好物のラセットアップルをしまっていたように……。 モンゴメリの祖母も、マリラと同じように、スグリの赤い色をした果実酒を作っていました。 ラズベリー・コージュアルと間違えてダイアナがのんだ果実酒です。 |
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グリーン・ゲイブルズ・ハウス もともとはモンゴメリの親戚の農家。 内部は、物語にあわせて再現されています。 プリンスエドワード島州のキャベンディッシュ。 はアヴォンリーのモデルとなった村です。 |
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グリーン・ゲイブルズの納屋。 グリーン・ゲイブルズは農場なので牛舎や納屋があります。 母屋（上記の写真）の右隣にあります。 以前は納屋はありませんでしたが、2000年に行っていたところ、納屋や厩ができていました。 『赤毛のアン』を読むと、グリーン・ゲイブルズでは、乳牛、豚、鶏、馬を飼っていたことが読みとれます。 マリラは乳牛の乳をしぼって、バターを作り、その脱脂乳を豚のエサにするのが、アンの仕事でした。 アンはひとりで馬車に乗り、馬を上手にあつかうこともできたのです。 |
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モンゴメリが通った師範短期大学。 プリンスエドワード島州の州都シャーロットタウン。 当時は、師範短大のプリンス・オブ・ウェールズ・カレッジという名称でした。 モンゴメリが１０代後半に通い、優秀な成績で卒業し、教員資格を取りました。 このいきさつは、『赤毛のアン』でのアンとまったく同じです。 『赤毛のアン』では、アンとギルバートたちが通う クィーン短大として描かれています。 現在は、ホランド・カレッジという別の名称になっています。 |
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モンゴメリが短大時代に下宿した場所 モンゴメリの日記の記述によると、ここから歩いて、短大へ通ったようです。 現在建っているのは、この白い家でした。 モンゴメリが下宿したのは、1890年代なので、当時の建物は、すでに壊されて、変わっているかもしれません。 プリンスエドワード島州 州都シャーロットタウンのヒルズボロストリート 『赤毛のアン』で、アンが初めてグリーン・ゲイブルズを離れてシャーロットタウンで下宿したとき、最初の晩は、ホームシックで泣きます。 もしかすると、モンゴメリ、最初の晩は、心細かったのかもしれませんね。 |
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モンゴメリが最初に教員として下宿した牧師館（メソジスト教会）。 プリンスエドワード島州 北西部ビデフォード ビデフォード村は、モンゴメリが先生として初めて赴任した村です。 『アンの青春』では、アンはマリラのいるアヴォンリーで先生になりますが、作者のモンゴメリは、育ったキャベンディッシュ村で先生の仕事を見つけることができず、遠く離れた漁村に仕事が見つかりました。 ビデフォードは、祖父母の住んでいたキャベンディッシュからは、道路の距離で、約120キロも離れているために、モンゴメリは自宅から通うことができず、村の牧師館に下宿しました。 当時の学校の校舎は、すでになくなっていますが、下宿先のこの建物は、改築されて、公開されています。 この家に住んでいたエスティ牧師夫人が、モンゴメリに痛み止め入りのケーキを焼いた人物です。 『赤毛のアン』でアンが痛み止め入りのケーキを、アラン牧師夫人に焼きますが、それはこの家の牧師夫人の実話で、アンの大失敗のモデルになっています。 |
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上記の牧師館で、モンゴメリが下宿していた二階の部屋 この部屋で、モンゴメリは、教師生活の日記を書いていました。 日記と『アンの青春』を比較して読むと、おもしろいことが分かりました。 教師になったばかりの若いモンゴメリの日記の記述が、アンが１０代で先生となる『アンの青春』にそのまま使われています。 その意味で、この部屋は、『アンの青春』の母体となった一室です。 床材は、モンゴメリが住んでいた頃のまま保存されています。 まさにモンゴメリが歩いた木の床で、感動しました。 |
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ダルハウジー大学のキャンパス カナダ南東部ノヴァスコシア州の州都ハリファックス 20代初めのモンゴメリは、教員生活を一時中止して、 この大学で英文学のコースをとりました。 キャリアアップのために、教員の給料を貯金して、 もっと高い教育を受けたのです。 物語でも、『アンの青春』のアンは、 ２年間の教員の給料を大事にためて、ノヴァスコシア州のキングスポートに大学へ通います。 このダルハウジー大学は、 『アンの愛情』でアンとギルバートが通うレッドモンド大学のモデルです。 つまりノヴァスコシア州キングスポートのモデルとなった都市は、ノヴァスコシア州の州都ハリファックス、 そしてレッドモンド大学のモデルとなった大学は この写真の、ダルハウジー大学だったのです。 現実には、モンゴメリの夫となるマクドナルド牧師が、この大学を卒業しています。 |
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ダルハウジー大学のキャンパスのなかでも モンゴメリが通い学んだ校舎フォレスト・ビルディング。 ノヴァスコシア州、ハリファックス市内 とても美しい学舎です。 ここでモンゴメリは英文学のコースをとりました。 ハリファックスは、プリンスエドワード島から飛行機で約一時間の街です。 しかしモンゴメリとアンのころは（19世紀末）、プリンスエドワード島からここまで 船と汽車で一日がかりでした。 この建物は、19世紀の半ばに建てられたものです。 |
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教員としての二つめの赴任地ベルモントの農村風景 とても静かな半農半漁の村 プリンスエドワード島州の西部にあります。 大学での学費が続かなかった20代半ばのモンゴメリは、無念のうちに、島へ帰郷します。 そして生きていくために、教員の仕事に戻りました。 この寂しい村に下宿した20代のモンゴメリは、孤独と厳しい冬の寒さに苦しみながら、作家をめざして執筆に励みました。 孤独のあまり、好きでもない親戚の男性エドウィン・シンプソン青年と婚約して、後で彼を愛していないことに気づいて、後悔にくれます。 |
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教員としての三つ目（最後の）赴任地ロウアー・ベデック モンゴメリが教えた学校の復元 プリンスエドワード島州の南岸サマーサイドの対岸近くにあります。 『アンの青春』でアンが教えた学校も、こうした一教室のみの学校でした。 一つの教室に、全学年の生徒が入り、一人の先生が、それぞれの学年を教えたのです。 この学校で教えていたころ、モンゴメリは、 下宿していた農家の長男ハーマン・リアードと激しい恋におちます。 しかし、祖父が亡くなり、年老いた祖母が一人のこされたたため、島の南岸にあるこの村を去り、彼とも別れて、島の北岸にあるふるさとキャベンディッシュに戻ります。 それから半年後、愛するリアードはインフルエンザで20代の若さで急死しました。 そしてモンゴメリは、祖父が運営していた地方郵便局の業務をしながら、また投稿生活に入ります。２０代から３０代まで、苦難の投稿生活を続けるのです。 |
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教師を辞めた後、モンゴメリが 島を出て働いていた新聞社の建物（中央） キャベンディッシュにもどったモンゴメリには、まだ単行本はありませんでした。 しかしさまざまな新聞、雑誌に投稿し、原稿料ももらえるようになっていました。 ところがモンゴメリは、もっと広い世界をみたいと、祖母の世話をいとこに頼んで、 プリンスエドワード島を出てまたカナダ本土にわたり、ハリファックスに行きます。 新聞社で、働いたのです。 建物は、モンゴメリがいた当時と外観は変わっていません。 ここで社交欄の記者の助手をしていました。 ちなみに映画「赤毛のアン アンの結婚」でも、アンは新聞社の社交欄の記者として働いていますが、それはモンゴメリの実人生をモデルにしています。 ノヴァスコシア州の州都ハリファックス市内 この建物は、今は新聞社ではありません。 |
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モンゴメリが夫となるマクドナルド牧師と出会った教会 プリンスエドワード島州キャベンディッシュ モンゴメリが祖母と住んでいた家（地下室の礎が残っている家の写真）のすぐ近くです。 歩いても2、3分です。 夫となる男性は、スコットランドで始まった新教徒の一派「長老派教会」の牧師でした。この教会も、長老派教会の教会でした。 ほかにキャベンディッシュ村には、カトリック教徒のための教会もあります。 スコットランド系カナダ人であるモンゴメリは、夫となる男性に、自分の一族が信仰する長老派教会の信者であり、また自分と同じスコットランド系の人を選んだのです。 ちなみに、『赤毛のアン』において、マリラとマシューも、長老派教会の信者です。 そしてマシューとマリラも、その両親はスコットランドから移民してきたのであり、祖国の新教徒の信仰を大切にしたのです。 長老派教会は、もともとヨーロッパ大陸では、カルヴァン派（改革派）と呼ばれる新教徒であり、たとえばドイツのグリム兄弟も、カルヴァン派でした。それが英国にわたり、長老派教会となったのです。勤勉、質素、道徳を重んじる宗派です。 |
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モンゴメリとマクドナルド牧師が結婚式をあげた家「銀の森屋敷」 プリンスエドワード島州北部 祖母が亡くなった後、天涯孤独になったモンゴメリは、結婚しました。 37歳のお嫁さんでした。 当時、婚約者のマクドナルド牧師は、 島から1000キロ離れたオンタリオ州のトロント近郊で牧師をしていました。 モンゴメリは、母を１歳で、父を２４歳で亡くしています。 当時は、お嫁さんの家で結婚式を挙げるのがしきたりでした。 しかしモンゴメリは、唯一の家族である祖母が亡くなり、 住んでいた家は、叔父の所有になったため、プリンスエドワード島にモンゴメリの暮らす家はなくなったのです。 そこで親戚の家で、結婚式を挙げました。 そのあと、マクドナルド夫妻は、二人の一族の祖国スコットランドのグラスゴーへむけて、 新婚旅行の船旅に出ました。英国を南下する２ヶ月の旅です。 『赤毛のアン』と『アンの青春』で、７０００ドル以上（今の貨幣価値で１億円くらいでしょうか？）の大金を得ていたモンゴメリが旅費を負担したものと思います。 清教徒の牧師である夫の給料は、決して高くはなかったからです。 |
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1911年の秋、新婚旅行でモンゴメリが泊まったホテル スコットランド、ハイランドの入り口、カトリン湖の隣の小さな湖に面している。 今はホテルではありません。会員制の宿泊施設のようです。 ここに泊まったときにことを、モンゴメリは自叙伝『険しい道』に書いています。 スコットランドでは、モンゴメリは、 『赤毛のアン』に引用したスコットランドの詩の舞台を、精力的にまわっています。 たとえば、アンが何度も語るスコット作「マーミオン」の舞台となった古戦場、古い城の跡、北海に浮かぶ聖人カスバートの島、そして作者スコットの邸宅。 ほかにもモンゴメリは、詩人バーンズの生家、ピーター・パンの作者バリーの生家なども訪ねています。 モンゴメリが引用したスコットランド文学とスコットランドの旅については、拙著『赤毛のアンに隠されたシェイクスピア』（集英社・2001年）に書きましたので、そちらをご覧下さい。 |
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結婚した後、最初に住んだ家 1911〜1926年 30代から50代 夫のマクドナルド牧師が赴任した長老派教会の牧師館です。 カナダ南東部オンタリオ州のリースクデイルにあります。 インターネットの梶原由佳さんのサイトを見て、この家を訪ねることができました。由佳さんは、トロント公共図書館の館員で、モンゴメリ研究家です。 ここは、モンゴメリの人生の中核となる家です。 ここで三人の息子を出産して（一人は死産）育て、 アンシリーズ全８巻の半分を書いたのです。 この家は、作家としての最盛期をすごした場所であり、モンゴメリの人生におって、もっとも重要な土地です。 また、カナダ人に大きな傷跡を残した第１次世界大戦（1914〜1918）も、この家で経験します。 ちなみに、この家でモンゴメリが書いたアンシリーズ作品を以下、列挙します。 第３巻『アンの愛情』1915年 モンゴメリ40歳 第５巻『アンの夢の家』1917年 42歳 第７巻『虹の谷のアン』1919年 44歳 第８巻『アンの娘リラ』1921年 46歳 （この作品は、第一次大戦がテーマで、アンの末娘リラが主人公です） （アンが登場する８巻の作品は、アンの年齢に沿って順番に執筆されたのではなく、モンゴメリは、後から追加するかたちで、シリーズを創作しています） |
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モンゴメリと夫たちが、1922年の夏の休暇を過ごした避暑地バラ 40代半ば 上記のリースクデイルの牧師館に住んでいたころです。 この建物で、休暇中に、毎日、食事をとりました。 今は、「バラ博物館」になっています。 あたりは、湖が点在し、大自然の原生林が広がる、美しいところです。 ここバラで過ごした経験が、小説『青い城』を描くもととなります。 大人むけの小説である『青い城』の舞台です。 オンタリオ州のトロントの北部、車で日帰りもできます。 |
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モンゴメリが牧師夫人として二番目に暮らした教会 1926年〜1935年まで オンタリオ州ノーヴァル モンゴメリは51歳から60歳 少し見えにくいのですが、気の後ろの高い建物は、レンガ造りの教会です。５０代をすごしました。 モンゴメリは、年々ひどくなる夫の精神的な病気に悩んでいました。 |
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牧師を引退した夫とともに晩年を暮らした家「旅路の果て荘」 1935年〜1942年の没年 夫が牧師の仕事が引退したため、牧師館に住むことはできなくなり、二人は家を購入しました。 モンゴメリが生涯で初めて所有した自分の家です。 この家で、モンゴメリは1942年に亡くなりました。 享年67歳でした。 オンタリオ州トロント市内 地下鉄ジェーン駅から歩いて１０分くらいのところにあります。 この家で本になったアンシリーズは、以下の２作です。 第４巻『アンの幸福』1936年 モンゴメリ61歳 （この小説は、アンがギルバートと結婚する前に、プリンスエドワード島南部のサマーサイドで学校長として活躍する様子を、ギルバートへの手紙で書きつづった書簡集形式の作品です） 第６巻『炉部荘のアン』1939年 モンゴメリ64歳 （結婚３年目のアンの育児と家庭生活の小説。アンが主人公として描かれる最後の作品です） 老いたモンゴメリは、自分の婚約時代の文通（婚約中、モゴメリとマクドナルド牧師は、遠く離れていました）、そして結婚生活と子育てという若い日を懐かしみながら、書いたのではないでしょうか。 しかしこの時期、すでに日本の中国大陸へ侵略、ドイツのナチスなど、世界は第二次世界大戦へと進み始め、晩年のモンゴメリの日記は暗い内容となっています。 |
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モンゴメリとマクドナルド牧師の墓 プリンスエドワード島州北部、キャベンディッシュ墓地 亡骸はトロントから1000キロ離れたふるさとに帰り、遠く海をのぞむ村の墓地で眠っています。 愛するふるさとの島に帰り、モンゴメリの魂は、ほっと安らいだのではないでしょうか。私はお墓参りをするたびに、鎮魂と、すばらしい物語を残してくださった感謝の念をこめたお祈りをしてきました。 |
