Yuko Matsumoto


５　『赤毛のアン』とモンゴメリのお薦め関連書最新の研究調査にもとづいた『赤毛のアン』とモンゴメリの関連書籍をご紹介します。 1. 『「赤毛のアン」を書きたくなかったモンゴメリ』　梶原由佳著　青山出版 2. 『赤毛のアンレシピ・ノート』　Ｉ＆Ｋ・クロフォード著　奥田実紀訳　東洋書林
1.　『「赤毛のアン」を書きたくなかったモンゴメリ』梶原由佳著　青山出版　1700円　2000年4月発行
	本の目次『赤毛のアン』とそれ以降のモンゴメリ第１部　ルーシー・モード・モンゴメリの生涯　１　永遠の故郷　『赤毛のアン』の生まれた島で　　　プリンスエドワード島のモンゴメリ　１８７４～１９１１　２　母として、牧師館の妻としての役割を生きる　　　リースクデイル時代のモンゴメリ　１９１１～１９２６　３　苦しみとともに再びアンの世界へ　　　ノーヴァル時代のモンゴメリ　１９２６～１９３５　４　旅路の果てに　　　トロント時代のモンゴメリ　１９３５～１９４２第２部　アンは私ではない！　アンとモンゴメリ第３部　モンゴメリを愛する人々不滅のアン
★著者の梶原由佳さんについて　カナダ在住のモンゴメリ研究家で、トロント公共図書館に勤務しておられます。　由佳さんは、オンタリオ州とモンゴメリについて、ホームページを開いています。　モンゴメリについての最新情報が書かれた、とても素晴らしいサイトです。 ★この本の帯は、私・松本侑子が書かせていただきました。　　「この本を、アンを愛する人すべてに贈りたい。　著者の梶原由佳さんは、世界でいちばんモンゴメリにくわしい人だ。　彼女は、カナダに暮らし、モンゴメリの足跡をたずね、親族に会い、アン研究者と交流。　現代に生きる名作『アン』とモンゴメリの知られざる最新情報が、今、トロントから届いた！」 ★著者の梶原由佳さんからのメッセージ『侑子さんが表現してくださったままに「アンを愛する人すべてに」この本を手にとっていただけたら、と願っています』 ★この本の推薦文　モンゴメリというと、『赤毛のアン』の作者としての一面しか知られていませんが、この本では、まず第１部で、モンゴメリの知られざる生涯を、その栄光も不幸も、深く読みとっています。　さらに第２部では、『赤毛のアン』発行後の、読者とモンゴメリのやりとりについて。　第３部では、現代カナダでは、モンゴメリはどのような研究がなされ、どう理解されているのか‥‥。　著者の梶原さんは、モンゴメリの研究者、ご遺族、関係者に会い、地道な取材と交流を続け、新たなモンゴメリ像を掘り起こしています。　　本書には、カナダで撮影された多数の貴重な写真が収録されているほか、モンゴメリの年表、作品リスト、関連地の地図も掲載されていて、とても参考になります。　私自身は、『赤毛のアン』の新完訳を発行して以来、これまで様々な意味において誤解されてきた本当の『赤毛のアン』とモンゴメリを、日本の読者に、ぜひ知っていただきたいと、努力してきました。　梶原由佳さんのこの初めての御本もまた、私と同じ熱意から生まれた労作です。 2. 『赤毛のアン　レシピ・ノート～Ｌ・Ｍ・モンゴメリの台所から』イレーン＆ケリー・クロフォード編著　奥田実紀訳　東洋書林　２５００円『アン』をモチーフにした料理本は、1970年代以降、いろいろと出てきたけれど、本書は、そうした書物とは、一線を画す、まったく新しい料理ブックだ。　たとえば過去の『アン』料理本は、イメージ・キャラクターとして、アンという女の子像を使ったものがほとんどで、内容は、日本風にアレンジされた現代の西洋料理を紹介するものだった。　つまり、それらは、『アン』の舞台となっている19世紀末カナダの料理を、正確に再現したものではなく、また、モンゴメリが実際に食べたプリンスエドワード島の特産料理を紹介するわけでもなかった。　こうした過去の『アン』料理本も楽しく、得もとても可愛らしい。　その一方で、モンゴメリや本当の『アン』の食事を知りたい‥‥。　アンは何を食べていたのか‥‥。スーパーもコンビニもなく、肉も野菜も、家族で自給自足した時代の食事は、どんなだただろうか。　この本は、モンゴメリが実際に使っていたレシピを元にして、彼女が実際に作り、食べた食事を紹介する料理書だ。　モンゴメリは服飾に関心の高い人だったが、料理と美食にも興味を持っていたことがわかる。　レシピの内容は、日常の食事だけでなく、お茶会のメニュー、お客様を招くときの正餐、プリンスエドワード島の名産を使った郷土料理、ピクニック用の食事、お祝いの膳など多岐にわたる。　また、モンゴメリの中年以降の写真や住んでいた家などの写真も多数、掲載されていて、作家として、妻として、母として、仕事に料理にと多忙に生きたくらしぶりがしのばれる。　レシピの編者は、モンゴメリの従姉妹のお孫さんである。　2刷り以降の本の帯は、私が書きました。　「おいしいものを作り、家族や友人と楽しむ。そして『アン』を書こう！　　モンゴメリの食卓は、心豊かで、とびきり美味しいものに満ちていた。　　本人による手書きの料理メモをまとめた貴重な一冊」　松本侑子
＊　このページに掲載している本の表紙カバーは、本の著者または版元に、掲載の許可を受けています。赤毛のアン電子図書館／松本侑子ホームページ